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木村草太『集団的自衛権はなぜ違憲なのか』晶文社、2015年

 安保法制がどのような経緯で「違憲立法」されたのかを振り返るうえで、有用な一冊。  

本書は、2013年以降、安倍政権の言動を追跡してきた若き憲法学者が、安保法制の問題点、憲法解釈の論点を、分かりやすく整理したエッセー集である。

 著者がジャーナリスティックに解説している出来事は、以下の通りである。2013年8月、内閣法制局長官人事。2014年5月、安保法制懇の報告書提出。同年7月、閣議決定。同年12月、衆議院解散総選挙。2015年5月、安保法案の閣議決定。同年6月、憲法審査会にて参考人が「違憲」発言。同年7月、衆議院で安保法案を強行採決。

 私たちは少し前の出来事をすぐに忘れがちである。著者の発言の全体を読むことで、この二年半の日本において、どのような政治が進められてきたのかを再認識できるだろう。著者はまた、「国家とは何か」、「法とは何か」といった根源的な問いについても解説しており、十分に読み応えのある一冊に仕上がっている。(T.T.)

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